通勤スタイルとして憧れだったスポーツバイク。スーツ+スポーツバイクに憧れ、住む場所は会社から自転車30分圏内とし、満を持してスポーツバイク購入へ。しかし、まったく予備知識のない状態で自分に合った自転車を選ぼうとしたら、これが思っていたほど簡単ではなかったのです。フレームのサイズからパーツ選びまで、自分にとって最高の乗り心地を追求するために、知っておいた方が良い事を紹介します。
ニーズに合ったタイプはどれ?
自転車屋さんに行ってみたら、お店の人に「何をお探しですか?」と声をかけられました。予備知識ナシの私には、どう答えれば良いかもわからなくて、「とにかくカッコイイやつ」などと間抜けな答えを返してしまいました…。どこから始めて良いかわからなかったので、お店の人に「近場のちょっとした移動に使えれば十分なのだけど」と言ってみたのですが、それでもまだまだ選択肢は絞り込めない、ということがわかったのです。
マウンテンバイクとビーチクルーザーなら、違いは一目瞭然かもしれませんが、両者の中間に位置づけられるタイプの自転車も、いくつも存在するのです。
・マウンテンバイク:頑丈な作りで、オフロードでの使用を想定している。とはいえ、舗装された道路の走行も可能。
・ロードバイク:舗装路の走行が想定されているので、街中を乗り回すのに向いている。スピード重視の設計。
・クロスバイク:マウンテンバイクとロードバイクの中間的存在。ロードバイクほどはスピードが出ず、マウンテンバイクほどは頑丈でもないが、通勤には向いている。
・ビーチクルーザー:「クルーザー」の名の通り、気軽にゆっくり走りたい人向け。アメリカではビーチ近くのボードウォークでよく見かける。
もちろん、このほかにも特殊なタイプの自転車はまだまだありますが、初心者にとっては、まずは上に挙げた4つを押さえておけば十分です。街中の移動用に考えていたのですが、近場の林道くらいまでなら乗っていくかも…と言ったら、お店の人からはクロスバイクを勧められました。
素材は価格に比例する
言うまでもないことですが、自転車にも高額なものはあります。価格の幅はかなり広く、モデルによっては1万円程度で買えるものから、100万円かかるものまで。
・低価格帯(1~3万円程度):フレームの素材は金属系で、機能は最低限ですが、デザインはそこそこスタイリッシュなものも少なくありません。
・中価格帯(3~10万円程度):アルミ合金など、軽量の金属系フレームのものがほとんどです。ホイール、チェーン、ペダルなども高品質のものを採用していて寿命が長く、毎日乗り回す人には最適です。
・高価格帯(10万円以上):フレームにカーボンファイバーやチタニウムなど、特に軽量な素材を使っています。毎日自転車を酷使する人向けで、ちょっとしたレースにも出られます。実店舗やオンラインストアで、さまざまなフレームサイズやカラー、ホイールタイプの中から好みのものを選んで、自分だけの1台を組み上げてもらうこともできます。
とにかくサイズの合うものを
自転車でちょうど良いサイズを探すとなると大変でした。ほとんどは大きすぎて、うまくコントロールできなかったのです。お店では自転車はフレームのサイズが適正でなくてはならないと説明されました。大きすぎても小さすぎても、乗り心地が悪く、コントロールがしづらくなるようです。
自分にとって適正なフレームサイズは、自転車のタイプ、身長、股下の長さ(股の付け根から地面までの長さを測ります)で決まります。ザックリとした原則は、「フレームサイズは股下長のだいたい65%」というものです。股下63センチの人なら、適正なフレームサイズは41センチということになります。
きちんとしたお店で買えばフレームサイズを教えてもらえますが、ガレージセールやネットオークションで買う場合、売り手がサイズをわかっていないこともあります。大体の見当をつけるには、自転車をまたいで立ってみて、股の付け根からフレームの上辺までの距離を測るという方法があります。
ハンドルバー
サドル位置からハンドルバーまでの間隔に無理がないかを確認してください。一般的にはサドルがハンドルバーよりも下の位置にあるほど、乗り心地は良いとされています。それに対して、サドルの位置がハンドルバーよりも高い方が、ペダルに力を入れやすくなります。ハンドルバーの形状と位置は、自転車のタイプによっても違います。
・ロップバー:ほとんどのロードバイクはこのハンドル。軽量で流線型をしているので、スピードを出すには理想的。低い前傾姿勢をとることになるので、背中から腰に負担がかかることがある。
・フラットバー:クロスバイクで一般的だが、ロードバイクやマウンテンバイクでも使われることがある。真っ直ぐに座った楽な姿勢で握れるので、手、手首、肩への負担が軽い。
・ライザーバー:マウンテンバイクで一般的。ハンドルの両端が上後方に持ち上がっているので、ハンドルとサドルの間隔を広くとれる。前が見やすく、ステアリングのコントロールが容易。
・ムスターシュ(口ひげ)バー:ロードバイクやクロスバイクの一部に見られる形状。ドロップバーに似ているが、ドロップバーに比べると下方向への落ち込みが少ない。
ギア
子どもの頃は、10段変速のギアがみんなの憧れの最高峰でした。最近では、自転車にありとあらゆるギアがついていますが、まず考えるべきは、自分の体力と、どんなところを走るかです。アップダウンの多いところを走るのに、登り坂がキツいと感じているのなら、ギアの枚数を増やした方が良いでしょう。逆に、自転車に慣れている場合や、平坦な道を走ることがほとんどという場合は、登り坂で使うローギアはそれほど必要ありません。ギアの枚数を減らして、車体を軽くできます。
サスペンション
サスペンションをつけるかどうかも検討しなくてはいけません。サスペンションとは、路面からの衝撃を吸収してくれるもので、舗装されていない荒れた道を走るような場合でも、姿勢を維持しやすくなります。マウンテンバイクを探しているなら、フルサスペンションのもの、最低でもフロントサスペンションのものを選ぶと良いでしょう。フルサスペンションだとコントロールを保ちやすく、牽引力が増します。フロントサスペンションだけでも、衝撃を吸収してくれるので、乗り心地がスムーズになります。クロスバイクにもうってつけです。ロードバイクでは、サスペンションがまったくついていないものもあります。
ブレーキ
ブレーキにもさまざまなタイプがあり、どれも一長一短です。よくあるものを以下に挙げてみます。
・リムブレーキ:車輪のリムにパッドを押しつけて制動する方式。シンプルでメンテナンスが簡単だが、長期的にはリムを傷めてしまう。また、リムが濡れていたり泥まみれだったりすると効きが悪くなる。
・ディスクブレーキ:上の写真。ホイールのハブに直結されていて、ハブを挟み込んで制動力を効かせる。点検や交換はリムブレーキよりも難しくなるが、気象条件が悪い時でもブレーキが効く。
・コースターブレーキ:ペダルを逆回転させて作動させるもので、メンテナンスもそれほど必要ない。子どもは手の握力が弱いので、この方式がうってつけ。ただし、下り坂を多く走る場合には向かない。
・ドラムブレーキ:車輪のハブに組み込まれたもの。メンテナンスが容易で悪天候にも強い。ただし、ドラムが消耗したら車輪とハブごと交換しなくてはいけない場合も。
自転車のタイプによっては、ブレーキの選択肢がほとんどないこともあります。それでも、自分の選んだタイプの自転車にどんなブレーキがついてくるのかを知っておくのはムダではないはずです。
乗り心地を調整したら、試乗へゴー
サドルの高さは足が地面につかない高さで良いです。理想的には、ペダルを踏み込んで、脚を真下に伸ばした状態の時、膝がわずかに曲がっているくらいが良いのだとか。
ペダルを踏み込んで、脚を真下に伸ばしている時(ペダルが6時の位置に来ている時)、膝がわずかに曲がるようにします。脚が完全に真っ直ぐに伸びてしまうと、膝を痛めるおそれがあります。特に、サドルが低すぎる場合は、力が逃げてしまって、走行が難しくなります。
調整が済んだら試乗に出かけてみましょう。快適に走れますか?
可能なら、自転車のタイプごとの違いを知るために、複数の自転車に試乗させてもらうと良いかもしれません。
最初は難しく感じたスポーツバイク選びでしたが、分かっていくととても楽しいものに!何よりしっかりと選んだスポーツバイクは通勤の相棒として愛着がわいてきます。
季節を感じながら、快適なスポーツバイクライフが送れると良いですね。