ライフハック

能力とやる気を引き出すマネジメントとは

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人には無限の可能性がある

 

企業活動における4つの経営資源は、人、モノ、金、情報と言われます。なかでも、人をどう活かすかが企業活動の成否の分岐点だと言っても過言ではありません。

 

パナソニックの前身である松下電器産業の創業者、松下幸之助はこう述べています。

「松下という会社は何を作っているのかと聞かれれば、人を作っている所だと答える。そして併せて商品も作っている所だと」。まさに至言ですよね。

 

人の重要性は、経営資源としての「人」を「人的資源」や「人的資本」と呼ぶ企業が増えていることでもわかります。人という経営資源が他の経営資源と根本的に異なるのは、その能力や可能性に無限の広がりがあることです。モノ、金、情報の価値は基本的には一定ですが、人の価値はやる気や能力、感情などによって大きく変動します。人が内包するやる気や潜在的な能力を引き出すことの巧拙が競争力に直結するのです。

 

 

モチベーションとインセンティブ

 

米国の心理学者A・H・マズローは「欲求5段階説」を唱えたことで有名です。人は欲求し続ける動物であり、その欲求の発展段階には生理的欲求、安全の欲求、所属と愛情の欲求、承認の欲求、自己実現の欲求の5段階があると説明しています。こうした欲求は低い次元のものから順次高度化していき、人間はより高い次元の欲求を目指していきます。すでに充足してしまった欲求は、さらに刺激を与えても、もはや決定的な効果をもたらさないと言われています。

 

人という経営資源が欲求の進化を続けるという前提に立つと、働く動機付け(モチベーション)となるものを与え、それを達成した時に何らかの報酬(インセンティブ)を与えることが人材活用のポイントとなります。

 

 

会社への不満とその要因

 

いつの時代においても、従業員というのは少なからず組織運営や人事制度、上司や職場、仕事に対して不満をもつことがあります。従業員満足度調査やインタビューを実施していると、特に次世代のリーダーとなり得る中堅、管理職(次世代リーダー)クラスの組織運営や人事制度(特に給与や賞与といった報酬面)に対する不満は大きいと感じます。

 

「こんなにがんばっているのに会社が良い方向に向かわないのは、経営層や上司が、明確な方針を示さないからだ」
「成果主義といいながら、成果を上げていない上司や年配社員より給与や賞与が少ない」
「上も下も変わろうという意識が少ない、危機意識が足りないのではないか」
「能力を重視した配置といっておきながら無能な上司が居座り、昇進・昇格のチャンスがない」
「必要のない会議や、意味のない事務処理に忙殺され仕事に集中できない」

次世代リーダーの不満

 

それではなぜ、特に次世代リーダーの不満が大きいのか。 次世代リーダーは、不満は持っていても、仕事に対するモチベーションが低いわけではありません。むしろ誰よりも成果を上げているという自負と自信から、会社への期待が過度に大きくなっていることに起因するものではないかと思います。自分は「こんなにがんばっているのに」「こんなに成果を上げているのに」「こんなに 能力をもっているのに」という思いから、だから会社は、「自分に報いるべきだ」「自分にチャンスを与えるべきだ」「やりたい仕事に集中できる環境を与えるべきだ」という理屈になっているように感じます。

つまり、次世代リーダーは成果と仕事への自信を背景に、特に組織運営や人事制度(報酬面)に過度な期待をしていることがうかがえるのです。その結果、期待と現実とのギャップがうまれ、不満が大きくなっていることが考えられるのです。

次世代リーダーの満足度向上に向けて

 

仕事の不満足に関わるのは「会社の政策と管理方式」「監督」「給与」「対人関係」「作業条件」などであり、これらが不足すると職務不満足を引き起こす。但し、満たしたからといっても満足感につながるわけではありません。単に不満足を予防する意味しか持たないといいます。

 

一方、仕事の満足に関わるのは、「達成すること」「承認されること」「仕事そのもの」「責任」「昇進」などで、これらが満たされると満足感を覚えるが、欠けていても職務不満足を引き起こすわけではない、との考え方。

 

この2要因理論に当てはめて考えると、次世代リーダーの不満は、動機付け要因より「組織運営」「人事制度(報酬面)」といった衛生要因の問題が多い。つまり、組織運営や人事制度(報酬面)の不満をそのまま受け止め、解決のための努力をしても、満足度が向上するわけではない。もちろん不満解消のための努力は必要だが、過度な反応しなくても良いと考える。

 

組織運営や人事制度(報酬面)といった衛生要因の問題解決より、動機付け要因を着目した不満の解消に努めるべきである。

 

「自分でやりたいと思っていることをやらせる」
「仕事の成果を承認し、達成感を味わってもらうよう働きかけする」
「能力ある人材には、魅力ある仕事を与え、権限を与える」

会社や上司から与えられるような外発的な報酬が中心ではなく、内側から湧き出るモチベーションを引き出すための方法である。キーワードは「自己決定」「成長感」「達成感」「責任の持てる魅力的な仕事」であり、これらをどう次世代リーダーに与えていくかを考えるべきです。 まずは手始めに、次世代リーダーの関心事を確認し、やりたいことができるような「時間」「雰囲気」「予算」を与えてみる。うまくできれば、その成果を承認する。失敗すれば、なぜできなかったのかを考えさせ、内省を促し、再度チャンスを与える。こんなことを繰り返しながら、成果を上げ続けた人材に、責任と魅力のある仕事を与え、更なる権限を付与する。こんなことが実現できれば、次世代リーダーの不満は吹っ飛び、モチベーションを最大化できるのではないでしょうか。できない理由を探すのではなく、是非、できる方法を考えたいものですね。

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