冬になるとあまり動かなくなる人がいますが、植物も一緒で、氷点下など、過酷な気候になると休眠に入り、生育に適した環境が戻ったら目覚めます。休眠中の植物は、葉を落とし、枯れてしまったように見えるかもしれませんが、実は生きている可能性が高いのです。
室内の観葉植物も休眠することを知っておく
屋外の植物は、当然ながら気候に応じて変化しますが、室内の観葉植物も休眠することがあるのです。一部の植物は、気象条件の悪化を自ら感知し、「自発的休眠」をします。一方、植物が厳しい環境になったことに適応して休眠に入ることを、「他発休眠」と言います。生き抜くためにこうした休眠期を必要としている植物は、実際、たくさんあります。
休眠を強く必要とする種、たとえばカエデ(イロハモミジ)などは、人為的に休眠から目覚めさせることができません。このような種を室内に入れて常夏状態にしても、最高で2年ほどは生長し続けますが、生長維持の限界を超えると、温帯植物は、季節や条件に関係なく自動的に休眠に入ります。落葉樹は葉を落とし、針葉樹は新たな葉の生長が止まります。
休眠を誘導するのは、気候だけではありません。野外の植物も屋内の植物も、ストレスをきっかけに休眠に入ることがあります。たとえば、株がカラカラに乾いてしまった場合、残った水分を浪費しないよう、葉を落として休眠に入ることがあります。そのまま枯死してしまうのかのように見えますが、実は枯れないための自営手段なのです。適切な世話をしてもらえなかった植物が、自分の生長に適した環境が戻ってくるのを待っているのかもしれません。
原因がストレスでも、冬の気候でも、休眠に入った植物は、葉がしおれてきて、落ち、枯死したかのように見える、という共通の症状を呈します。
テストをしてみる
あなたの観葉植物が枯れてしまったのか、休眠しているだけなのかを確かめるにはまず、鉛筆くらいの太さの枝先を選び、枝をつかんで思い切り折ってみます。生きている枝なら、しなやかに折れ曲がり、曲がった部分が割けて、中の湿った芯が見えるでしょう。枯れているなら、ポキッと簡単に折れ、中まで乾いています。もう1つは、スクラッチ・テストという一般的な方法です。ナイフか爪先で、若い枝の樹皮を引っかいてみます。
生きている木なら、樹皮の内側は緑色で、少し湿っています。一方、枯れている場合は、茶色ですが、それ以前に、うまく引っかくことができないでしょう。茶色くなっているようなら、もっと下のほうの枝や茎でスクラッチ・テストをしてみます。根本のほうに生きている兆候が見られるかもしれません。その場合は、生長が見られる部分の2.5~5㎝上で枯れた枝や茎を切り落とします。
根を調べる
休眠中の植物は、土から上の部分が枯れたように見えても、根は健康です。スナップ・テストやスクラッチ・テストの結果が微妙な場合は、株を鉢から抜いて、根が生きていて健康か、完全に腐ったり乾いたりしていないかチェックします。
根腐れしていると、ドブのような悪臭がします。したがって、根を触ると崩れたり、悪臭がしたりするなら、枯れているということです。根が黒ずんでおらず、しなやかな状態なら、株はまだ生きており、休眠しているだけでしょう。
根の一部が枯れ、主根を含む他の根はまだ生きている場合もあります。それがどのような状態か、上の動画で確認できます。これは、休眠中の盆栽の様子です。気候が温かくなったら休眠から目覚めるよう、根を最善の状態にしてやるには、枯れた根を切り取るとよいでしょう。主根と健全な根は切らないようにしてください。
休眠中の植物はどう扱えばよいか
株が休眠中だからといって、放置してよいわけではありません。休眠中の植物は、光は必要としないが、月に1回程度の水やりが必要だそうです。それなら簡単ですが、この時期に水をやりすぎて枯らしてしまう人が多いといいます。暖房で室内の空気が乾燥して土が乾くと、もっと水をやらなければと思ってしまい「結果的に冬場は水をやりすぎになりがち」になってしまう事も。
これを防ぐには、土の中に指を入れて乾き具合をチェックします。深さ2.5㎝あたりの土が湿っているようなら、水やりは必要ありません。
植物の休眠は、自然の生長サイクルの一部です。気候が温かくなるのを待つ以外に、あまりしてやれることはありません。休眠に入っても、温かくなれば、生きている証を新たに見せてくれるでしょう。上の動画は、蘭の場合の剪定方法です。
植物はとても複雑ですから、枯らせないようにするのが難しいこともあります。しかし、また枯らしてしまったと考える前に、休眠中でないことを確かめましょう。温かくなるのを待っているだけかもしれないのですから。